久保建英にとっては難しい試合に
さて、ここからは久保建英にフォーカスを当てていきたい。同選手はこの日、トップ下として先発起用。これでリーグ戦8試合連続のスタメン入りとなった。
久保は49分に見せ場を作っている。ファウルを受けフリーキックを得ると、自らキッカーを担当。精度の高いボールはジョセフ・アイドに当たりそのままゴールへと吸い込まれた。記録はオウンゴールとなったため、当然久保にはゴールやアシストはつかなかったものの、その左足から歓喜を呼び込んだのは紛れもない事実だった。
しかし、この日における久保のハイライトは上記のFKのみと言える。データサイト『Who Scored』によると、久保のタッチ数は31回だったとのこと。これはGKセルヒオ・リコを除いてチームワーストタイの数字となっている。
その理由は単純、マジョルカの守備が機能しなかったからだ。
先述した通り、この日のマジョルカはセルタに対し効果的なプレスをかけられず、深い位置で守らざるを得ない状態が多かった。そうなると当然、前の選手にボールが渡る機会は限られる。マジョルカにはボールを運べる存在が少ないので、なおさらだ。そのため守備時ツートップとなるヴェダト・ムリキと久保は前線での孤立を強いられる格好になってしまった。
久保は普段通りボールを受ければ前への意識を強めていたが、やはりすぐに囲まれてしまうため、ドリブルなどが活きない(ドリブル成功数は0回)。ムリキはクリアボールを自慢の巨体を活かし何度も収めようとしたが、周りのサポートが間に合っていないため結果的に“ロスト連発”という形に。彼ら二人にとっては、非常に難易度の高いゲームだったと言えるだろう。
次節の相手は首位マドリー。彼らから勝ち点を奪うのはかなりハードなミッションと言えそうだが、やはり久保からすると個人として爪痕を残しておきたいところ。それが、将来のマドリー復帰に繋がっていくだろう。
(文:小澤祐作)
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