リバプールはなぜ苦戦したのか
ウエストハムはマイケル・アントニオを前線に残し、9人が自陣深くまで下がって守備網を敷いた。前線やサイドではあまり強くプレスに行かずに中を固め、ペナルティーエリア内では複数人でボールを奪いに行っていた。
そのため、リバプールはサイドから攻撃を展開。12分の場面では、オーバーラップしてきたアンドリュー・ロバートソンのグラウンダークロスからルイス・ディアスがシュート。37分にはファビーニョのパスにアレクサンダー=アーノルドが抜け出してクロスを上げるなど、ペナルティーエリア内でシュートまでは持って行けていた。
苦し紛れのシュートもあったが、ゴール前までの組み立てなど、攻撃は機能していた。
問題があったのは守備面だ。
相手の引いた守備を崩すためには攻める側も手数が必要になる。そのため、リバプールはDFラインを押し上げ、前述したように両サイドバックが積極的に攻撃に関わっていた。だが、逆にこの前がかりになったDFラインの裏を狙われた。
前述した39分の場面だけでなく、70分にはロバートソンの背後を取られ、失点していてもおかしくない決定機を作られた。さらに80分にはケイタの頭上を通されて裏に抜けられたシーンなど、DFの裏を突かれる場面は多くあった。
本来であればアンカーかインサイドハーフがサイドバックのカバーに入る。しかし、この試合では両サイドバックと同時にインサイドハーフの選手はサイドの崩しに関わり、アンカーのファビーニョはこぼれ球の処理や逆サイドへの中継役として上がっていたために、ウェストハムのロングカウンターに対応が間に合っていなかった。
39分のピンチに場面について、ユルゲン・クロップ監督は試合後に「トレントが長い脚でクリアした時の守備は本当に悪かった。我々はそれを認めなければならない。中盤でボールにプレッシャーはなく、ラインが高すぎた」と振り返っている。
追加点にあと一歩が届かず、リスクを冒して攻めたあげく、同じ形で何度もピンチを迎えてしまっていた。