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なぜ21歳のウクライナ人GKは軍入隊を決意したのか? 「契約を結ぶためハリコフへ行ったら、その日の朝に戦争が始まった」【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

新たな契約を結ぶ直前で…

ニキータ・フェドトフ
【写真:本人提供】



 フェドトフは今年1月までスペイン4部のUDモンティホというクラブに所属していた。次の所属先となるはずだったクラブと契約を結ぶ直前にロシア軍によるウクライナ侵攻が始まり、プロサッカー選手としてのキャリアを一時中断することに。そして、中部の都市ドニプロでウクライナ軍に志願して、祖国を守るための戦火に身を投じる決断を下した。

 9歳でサッカーを始めたフェドトフは、14歳で地元の名門FCドニプロの下部組織に入団。16歳になるとシャフタール・ドネツクへ移籍し、17歳となった2017年夏に当時ウクライナ2部リーグを戦っていたFKポルタヴァとプロ契約を結んだ。

 この将来有望なGKのプロキャリアは負傷とクラブの解散によって1年で頓挫しかけるが、2018年初頭にFKポレシーと契約を結んで復帰。そこで1年半プレーしたのち、2020年夏にUDモンティホからのオファーを受けてスペイン移籍を果たした。

「実はこの冬、スペイン2部のフエンラブラダと契約する寸前までいっていたんだ。けれども、スペインでプレーするための書類が足りずに契約はまとまらなくて、ウクライナに戻った。その後、2部のFKメタリスト・ハルキウからオファーを受けた。そして2月24日に契約を結ぶためハルキウ(ロシア語では「ハリコフ」)へ行ったら、その日の朝に戦争が始まった」

 2022年2月24日の早朝5時頃。プーチン大統領は「ウクライナ政府によって8年間虐げられてきた人々を保護する」という口実でロシア軍による“特殊軍事作戦”を開始すると表明した。その数分後、キエフやハリコフ、オデッサなどで爆発が確認され、ロシア軍のウクライナへの全面侵攻が始まった。

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