遠藤保仁は「年相応に戦ってますよ」
「まず左サイドの距離が遠くなった。ヤット(遠藤)が高い位置を取り始めていたので、後ろの押し上げやそこに入れるボールだったりが少し少し足りなかったのかなと思います」
遠藤が前がかりになった分、アンカーポジションに残った山本康裕の周りにスペースが生まれ、そこを相手に突かれる形が増えたのは事実だろう。
「ハードワークだったり、強度の高い選手を使う監督であれば、僕のランクは下になるかもしれない。それが悪いことだとは思いません。実際、自分も20代前半の頃に比べたら疲労回復とかは間違いなく落ちてると思う。それを含めて『自分は40代なんだ』と思いながら、年相応に戦ってますよ」
遠藤は昨秋のインタビューでも語っていたが、42歳の男に90分間、J1トップレベルのハードワークやスプリントを求めるのは酷だ。が、そのマイナス面を補うに余りある能力が彼にはある。高度なテクニックやアイディア、戦術眼、先を読む力、緩急のつけ方は、この日の一挙手一投足を見ていても他を寄せ付けなかった。
このJリーグ随一の稀有な才能を最大限生かし、ゴールと勝利につなげていけるか否かが今季磐田の成否を大きく左右する。J2よりグッと強度が上がる中、いかにして遠藤の賢さを生かす形を構築していくのか。これは伊藤監督率いる新生・磐田の非常に大きなテーマと言ってよさそうだ。