地上戦を捨てたバルセロナ
ルチアーノ・スパレッティ監督率いるチームは1stレグ同様、どんなに追い込まれてもボール保持を徹底している。それに対しバルセロナはCFとインサイドハーフ1枚でセンターバックをチェックし、両ウイングがサイドバックに付く、4-4-2に近い攻撃的な形で応戦。これが見事にハマり、敵陣深くでボールを奪っては何度も決定機を迎えていた。ヴィクター・オシムヘンの一発は怖かったが、ナポリの「癖」を考えれば、妥当な戦略だった。
本来であればバルセロナもナポリのような戦い方を行いたかったはず。しかし、確実に勝利を奪うために、地上戦を捨てて相手の狙いの逆手を取った攻撃を仕掛けたのは見事だった。敵の守備にハマりながらもポゼッションを徹底し続けたスパレッティ監督と、本来目指すものではなく“相手を考えて”柔軟に戦い方を変えたシャビ監督。この試合に関しては、監督力の差が出たのかもしれない。
個人パフォーマンスに目を向けると、とくに目立っていたのはフレンキー・デ・ヨングと言えるだろう。1stレグとは違いインサイドハーフでの先発となったが、やはり同ポジションの方が特長は活きるのかもしれない。
先述した前半の攻撃の形ではインサイドハーフのかかわり方が重要となってくるのだが、そういった意味でF・デ・ヨングはピカイチだった。ビルドアップをサポートしつつ、前にボールが入れば巧みに相手ボランチの背後を突いていく。彼が動きを止めなかったことで、ナポリ守備陣は手を焼いていた。
そして後半は、非凡なパスセンスを武器にボールを動かし続け、チーム全体に落ち着きと余裕を与えている。最初の45分と最後の45分で戦い方はかなり変わったが、背番号21は柔軟に対応していた。