失点に絡んだ久保。全ての責任を負うべき?
カナレスからクロスが上がった際、久保はボールウォッチャーになってしまい、背後から走り込んでくるA・モレノに付いていくことができなかった。そのため、結果的にフリーの状態でシュートを押し込まれている。
マジョルカは基本的に相手SBに対してはSH、相手のSHに対してはSBがゾーンではなくマンツーマンで対応する形を採用している。それを踏まえれば、このシーンはSBであるA・モレノを止められなかった久保の責任になるだろう。
ただ、久保にとってかなりハードなミッションだったことは否めない。
まずこの守備の形だと、久保の負担がかなり大きすぎる。サイドでかなりの上下動を強いられるだけでなく、右SBパブロ・マフェオのサポートが皆無だからだ。
マフェオは単純な1対1に強いが、守備者としてあまり機転が利かない。つまり相手SHのマークに付く仕事はできるが、そこばかりに集中するあまり、状況によって味方SHのカバーリングなどにシフトすることができないのだ。
そのため、この日のベティスのようにSBが攻撃的だと、久保がサイドの広大なスペースで1対1を確実に強いられてしまう。第22節ビジャレアル戦でも、久保が左SBアルフォンソ・ペドラサと深い位置で1対1の局面を迎えるシーンが何度もあり、そこから失点も招いている。
先述の失点シーンも、マフェオは機転を利かせることができたはずだ。同選手は“約束通り”左SHファンミに付いていたが、彼は相当内側に寄っていたので、CBマルティン・ヴァリエントへ早めにマークを受け渡し、大外をカバーするという選択肢があってもよかった。確かに失点は久保の責任が大きいのかもしれないが、すべて若きレフティーに押し付けるのも酷ではないだろうか。
現代のサッカーでは攻撃的な選手にも守備のタスクが高いレベルで求められる。そういった意味で、久保にもハードなミッションが課されるのは普通だろう。
ただ、それならばもう少しサポートは欲しいところだ。毎度サイドで1対1の状況を作られるのは、いくらなんでも厳しいものがある。久保の場合、長距離を戻っているのでなおさらだ。ここに関してはマフェオの意識改善、あるいはルイス・ガルシア監督による構造のテコ入れが必要と言えるだろう。
(文:小澤祐作)
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