完成に近づくアタッキング・フットボール
その中で古橋が大ブレイクし、シーズン途中から加入した旗手や前田もすっかり主力に定着した。彼ら日本人選手たちの躍動は現体制を象徴していると言えよう。いまや旗手は中盤インサイドハーフで替えの利かないかじ取り役になりつつあり、ダンディーFC戦で多くのチャンスに絡みゴールも演出した前田は左ウィングと1トップの二役で抜群のスピードを生かして多くのゴールに絡んでいる。
そして、ここにきて「素晴らしいフィニッシャーであり、ペナルティエリア内での存在感とプレースタイルが我々のやり方にぴったり」と指揮官が惚れ込むジャコマキスも重要な戦術オプションとして評価されるようになってきた。負傷離脱中のエース古橋とて、うかうかしてはいられない。
何点取られようが相手より多くのゴールを取り返すマインドが浸透したチームにおいて、前線の選手層の充実ぶりは大きなアドバンテージになる。国内リーグだけでなくUECL、FAカップと、まだ複数のタイトルを狙えるセルティックは、今季終了までに60試合を超える公式戦をこなさねばならない可能性もある。
だが、シーズン終盤に向けて“ポステコ流”のアタッキング・フットボールは完成に近づいており、過密日程を乗り越えられるだけの陣容が整ってきたのも確認できた。途中加入の選手たちが素早く適応し、スカッド全体の安定感も増してきている。
ダンディー戦では久々の敗戦で気落ちすることなく、2失点を食らっても勇敢に攻め続けたセルティックの選手……いや、“信者”たちの姿が印象的だった。ボール支配率は81%を記録し、放ったシュートは19本。この相手を圧し潰すような攻めの迫力は、3年前にJリーグを席巻したあのチームの後ろ姿を思い出す。
(文:舩木渉)
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