右足で1点目、左足で2点目、最後は頭で
86分、カウンターで右サイドを破ると、途中出場のFWリエル・アバダとのコンビネーションで抜け出したDFアンソニー・ラルストンがニアサイドめがけて高速クロスを入れる。その軌道の先に飛び込んでいた昨季のオランダ1部リーグ得点王は、相手DFの背後からすり抜けるようにして前に出て技ありのヘディングシュート。ハットトリックを達成し、ユニフォームを脱いでイエローカードをもらったのはご愛嬌だ。
「彼は途轍もないハードワークをしてきたが、これまではゴール前で不運が続いていた。あれだけ継続して懸命に努力していたからこそ、今日彼は報われたんだ。相手は自陣深くに引いて、ペナルティエリア内にたくさんの選手を配置していたので、彼のようなスタイルや存在感が非常に大事だった」
ポステコグルー監督はジャコマキスの献身性の高さを称賛した。昨夏の加入直後はコンディション不良で出遅れ、その間にFW古橋亨梧が台頭してなかなか出番が回ってこなかった。古橋の負傷以降は代わりの得点源を確立しきれていなかったセルティックで、腐らず努力を続けてきたギリシャ代表がようやく“ポステコ流”の中で結果を残せるようになってきている。
ジャコマキスは試合後に「僕たちはセットプレーで2失点してしまった。それは改善しなければならないことだが、勝った。それだけが重要だ」と、あくまでチーム第一の姿勢を示した。言葉の選び方が、同じギリシャにルーツを持つ指揮官とどこか似ている。
セルティックはダンディー戦で今季の公式戦100得点を達成した。20日までに5つの大会で46試合をこなし、101得点を挙げてきた。内訳はリーグ戦27試合で60得点(17失点)、CL予選2試合で2得点(3失点)、EL予選の4試合で10得点(4失点)、ELのグループステージ6試合で13得点(14失点)、UECLの1試合で1得点(3失点)、スコティッシュ・リーグカップ4試合で9得点(3失点)、そしてスコティッシュFAカップ2試合で6得点(1失点)となっている。
1試合平均で約2.2点は、Jリーグを制した2019年のマリノスや、J1最多得点を達成した2021年のマリノスよりも高い数字だ。ポステコグルー監督は就任1年目のセルティックで自らの追い求めるフットボールを見事に体現できている。