レアルは消極的すぎた
PSGに勢いがあり、レアルを勝っていたことは一目瞭然だ。アウェイで引き分けを狙っていたのかもしれないが、それでも攻撃に改善がなかったことは気にかかる。
試合後、アンチェロッティ監督は「我々は苦しめられました。守備的にはかなり良いパフォーマンスを見せたが、あまりアグレッシブではなかったし、ポゼッション時のパフォーマンスも良くなかった」と試合を振り返った。続けて「中盤でPSGのプレスを掻い潜るのに本当に苦労した。だからこそ明確なチャンスを作れなかった。中盤から抜け出すのに苦労し、アセンシオとビニシウス・ジュニオールにボールを出すことができず、カリム・ベンゼマにもチャンスがありませんでした」とコメントした。
たしかに中盤で優位に立っていたのはPSGだ。中盤やサイドの起点をダニーロ・ペレイラに完全に抑えられていた。
だが、ダビド・アラバやトニ・クロースのキックを活かしたロングカウンターを仕掛ければ、中盤のプレスは掻い潜れたはずだ。相手ディフェンスの裏を狙うことで最終ラインが下がれば、いくらか中盤で余裕が生まれただろう。
中盤でのポゼッションやベンゼマを起点としたサイド展開にこだわったレアルの攻撃は、勝利のためではなく、負けないための時間稼ぎのように見えた。
2ndレグはホームで戦えるが、レアルのようにPSGが消極的になるとは限らない。今日のような展開になれば、エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウであっても、レアルが主導権を握るのは難しいだろう。
今日の試合は守備陣の奮闘もあり何とか1点に抑えた。しかし、次節は累積警告により、カゼミロとガブリエウ・ミリトンが欠場となる。守備の主軸を失ったレアルは2ndレグまでに攻撃を改善し、勝利への貪欲さを見せなくてならないが、アンチェロッティ監督はどんな答えを導き出すのだろうか。
(文:阿部勝教)
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