支援を失ったアダマ・トラオレ
1つ考えられるのは、ダニエウ・アウベスの不在だ。38歳のベテランSBはアトレティコ戦で先発し、1ゴール1アシストの活躍を見せた。しかし、その試合でカラスコのふくらはぎを踏みつけ、一発レッドで退場となってしまう。
スペインサッカー連盟(RFEF)の競技委員会はアウベスに対し、2試合の出場停止処分を科すことを決定。よって、エスパニョール戦で右SBに先発したのはセルジ―ニョ・デストだった。
だが、21歳の若きSBは、アウベスのようにトラオレと良好なコンビネーションを構築することができない。それゆえ、バルセロナの右サイドにアトレティコ戦のようなダイナミズムが生まれなかったのである。後方支援を失ったトラオレの仕掛けは単発的な攻撃になり、デスト自身、アウベスのような鋭いランでインサイドを突いたりすることもできず、右サイドに“違い”を生み出すことができなかった。
もちろんエスパニョール戦のバルセロナの低調は、デスト個人のみに起因するものではない。そもそもアトレティコ戦でも2失点しており、シャビ監督は、まだまだ「安定した守備組織」を構築できていないところがある。ここでの「安定した守備組織」とは、他ならぬシャビ監督が選手としてプレーしていた頃のペップ・バルサが実現していた、ポゼッション→ボールロスト→即時奪回→ポゼッション…の好循環だ。