旗手怜央はまるで「ロールス・ロイス」
地元紙『スコッツマン』のジョエル・スケッド記者はレイス戦後の記事の中で「セルティックには旗手がいる。まるでMF界のロールス・ロイスだ。不規則な瞬間もあったかもしれないが、彼は国内で最もポジティブなプレーをしている選手の1人であり、パスはメスを持った外科医と同じような精密さで計算されている」と、加入したばかりの日本人MFを絶賛していた。
ゴールを演出したパス以外の場面でも、内側に絞りながら高い位置を取るサイドバックの背後のスペースを埋めながらビルドアップをサポートし、ボールの前進とともに自らも前に出てゴール前でのチャンスメイクに絡んでいく獅子奮迅の働きぶりだった。守備でも切り替えの早さや勘の鋭さを遺憾なく発揮する。旗手はゴールから逆算し、味方との位置関係を意識した最高のポジションを常に取り続けることで、セルティックの攻守両面におけるエンジンとなっている。
最後に、セルティックにとって重要な収穫の1つを挙げておきたい。74分、交代を示す電光掲示板に「2」という数字が表示されると、セルティック・パークに集まったファン・サポーターは万雷の拍手でその選手を迎えた。
一昨年12月にひざの大怪我を負って以降、約1年2ヶ月にわたってピッチを離れていたDFクリストファー・ジュリアンが腫れて復帰を果たしたのである。28歳のフランス人センターバックにとって410日ぶりの公式戦出場が叶った。
プレー時間は短く、コンディションはまだまだ万全ではないだろうが、長いリハビリを乗り越えて復活を遂げた長身センターバックが競争に加わってくれば、セルティックのディフェンスラインはまた一段とパワーアップするだろう。
ポステコグルー監督も「今日は前進する必要のある選手たちに有意義な時間を与えるいい機会だと思った。ジュリアンはトレーニングに熱心に取り組んでいるし、他の選手たちと同じようにプレーする必要がある。彼がファン・サポーターからあのような熱烈なエールを受けたことで、さらにトレーニングに励み、チームの前進に貢献してくれることを願っている」と完全復活に期待を寄せていた。
今週から始まるカンファレンスリーグの選手リストに載ったことで、ターンブルや古橋亨梧の復帰も間近と見られている。冬の補強で獲得した旗手や前田、オライリーといった即戦力がフィットし、ジョタやジュリアンなど負傷者たちも徐々に復帰しつつあるセルティックにはポジティブな材料が揃っている。タイトル獲得に向け、今のところ視界は良好だ。
(文:舩木渉)
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