苦戦した中でも傑出していたのは…
中盤の底に君臨するファビーニョは、あらゆる場面でボールの受け手となり、長短の正確なパスで試合をコントロールした。流れの中で攻め上がることは少ないが、先制点となった40分のセットプレーでは完璧なタイミングで飛び込み、ゴールネットを揺らしている。さらに、90分通して安定したプレーを見せ、86分にはサラーへ見事なスルーパスを送っていた。
セットプレーでのゴールについては、試合後にユルゲン・クロップ監督も「素晴らしい! 彼を攻撃時のセットプレーでボックス内に入れていれば、より多くのゴールを決めるだろう。実際、彼を入れて以来、得点を決めている」と称賛の言葉を残した。
攻撃だけでなく、守備では瞬時に相手の攻撃の芽を摘み取り、中央からの攻撃を封殺。カバーリングも速く、サイドバックが釣りだされたスペースなど、ゴールへ繋がる危険な場面では必ずこの男が対応していた。
2月15日からはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメントが始まる。さらなる過密日程を余儀なくされるが、プレミアリーグとCLを制するためには、ファビーニョの存在が必要不可欠。サラーやマネに目が行きがちだが、中盤だけでなく、チーム全体に安定感をもたらすこの男の活躍にも期待したい。
(文:阿部勝教)
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