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Jリーグ 3年前

浦和レッズの中盤はなぜ崩されなかった? 川崎フロンターレを完封、岩尾憲と指揮官が考えていたこととは【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

試合中に布陣変更した浦和レッズの狙い

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【写真:Getty Images】


 1-0で折り返した後半。浦和は中盤をより明確な3枚へと変更。前半は明本孝浩と2トップを組んでいた江坂を左に回し、4-5-1へと布陣を変更する。

「前半の最初の方は、高い位置からの追い方であったり、ボールをうまく回収できたりなど守り方が非常によかった。ただ、そこから押し込まれる時間が長くなる中、どうしても人数をかけて守らないといけなくなった。江坂がサイドの方で守備のサポートに入る機会が多くなり、そこをハッキリさせる狙いもあった。さらに、相手のインサイドの選手がゴール脇に進入するランニングが増えてきて、そこについていくために中盤の枚数を増やすという狙いもありました」

 指揮官はこのように意図を説明したが、岩尾はそういった試合中の修正にも慣れている。戸惑うことなく周囲とコミュニケーションを取りながら最適なバランスを見出し、安定感をもたらした。川崎が後半頭からチャナティップをインサイドハーフに移動させ、左外にマルシーニョを起用してきたことにもスムーズに対応。さらに、新加入の瀬古樹を入れて中盤の形を変えてきた後も危ない場面を作らせなかった。

 そして後半36分、試合を決定づける2点目が生まれる。自陣の混戦からボールを奪った浦和は伊藤が鋭い縦パスを前線へ。これを受けた明本が抜け出し、ペナルティエリア手前でマークに来た登里享平を引きつけ、スルスルと上がってきた江坂に展開。背番号33は日本代表DF谷口彰悟を巧みにかわして左足を一閃、ゴールに突き刺した。

 電光石火の一撃にリカルド監督は喜びを爆発させた。それもそのはず。就任1年目の昨季は王者・川崎に対して0-5の大敗からスタートしている。その後はYBCルヴァンカップも含めて3引き分けに持ち込んだが、1つも勝つことができなかった。その宿敵に2-0というスコアを叩き出したのだから、嬉しくないわけがない。そのままタイムアップの笛が鳴り、ついに彼は川崎の壁を超えたのである。

 しかし、指揮官は満足していなかった。

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