進み始めた戦力の融合
ただ、アドレナリンが出過ぎたのか、68分にアトレティコにカウンターを喰らった際に、カラスコの右足を左足の裏で踏むようにして同選手を倒してしまい、VAR介入の末にレッドカードを貰って退場してしまった。
年齢的にも今季残りの全ての試合でフル稼働は難しいかもしれない。しかし、トラオレとの良好な関係をさらに発展させることができれば、対戦するリーガのクラブにとってバルサの右サイドは脅威となるはずだ。
もちろん爆発的な攻撃力が生まれた要因としては、中盤にペドリが戻ってきたことや、そもそもアトレティコのブロックが、2014年や16年にCLの決勝に進出した頃のような強度ではなかったことも考えられる。しかし、主な要因としては、上記の3つが考えられるだろう。既存のメンバーに新戦力、新星、ベテランの力が融合し、シメオネのアトレティコを粉砕したのである。
序盤に先制点を献上して、セットプレーの場面でも失点し、1人少なくなった終盤はボールを持たれるなど、アトレティコ戦は完全無欠な試合ではなかったが、エンターテイメントとしては極上だった。
この試合を観た天国の“始祖”ヨハン・クライフは、さぞ喜んだに違いない。
(文:本田千尋)
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