南野の序列はどうなる
『transfermarkt』によると南野はリバプール加入後、右WGで先発出場したのはこの試合を含めてわずか2試合となっている。最初で最後の右WGでの先発出場となっていた2019/20シーズン第30節エバートン戦では低調なパフォーマンスから前半のみでの交代となっていた。
カーディフ戦にて右WGで出場した時の得意なプレーエリアが自身も周りの選手も把握できたことで、3トップのどこのポジションでも計算できるようになった訳だが、この結果を踏まえて南野の序列が上がったとは言い難い。その理由は前線の選手層の厚みが後半戦に増したことにある。
南野の現状のリバプールでの立ち位置を把握するために、まずは彼を除いた選手だけで3トップの序列を確認する。
左WG:サディオ・マネ、ディオゴ・ジョタ、ルイス・ディアス
ST:ディオゴ・ジョタ、ロベルト・フィルミーノ、ディボック・オリギ
左WG:モハメド・サラー、オックスレイド=チェンバレン、ハーヴェイ・エリオット
上記の選手の中でサラー、ジョタ、マネ、フィルミーノの序列は抜けており、この4名のうち3名がスタメン起用されることは、消化試合や明らかな格下相手ではない限り当確だ。
また、これまで南野が出場機会を得ることが多かった左WGにはポルトからルイス・ディアスが加入。ユルゲン・クロップ監督も獲得が決まった際に「彼(ディアス)は我々が本当に望んでいた選手だ」という高い期待が伺えるコメントを出しており、イングランドの地に慣れさせるためにも優先的に後半途中から起用する可能性が高いだろう。
現状このポジションでは4番手的な扱いとなるだろう。
と、なるとチャンスがあるのは真ん中と右の2つのポジションになる。だが、いずれのポジションでも出場機会を大幅に増やすことは困難だろう。ビハインドでどうしてもゴールが欲しい展開となったらユルゲン・クロップ監督はこれまでの実績を考えるとジョタ、フィルミーノの次にはオリギを選択するだろうし、サラーの控えには将来性や世代交代を考えると18歳のエリオットを優先的に起用することが考えられる。この試合でもエリオットは南野が交代となって以降に右WGへとポジションを移し、高いパフォーマンスを披露していた。
エリオットとチェンバレンは右のインサイドハーフでもプレー可能なため、一概には彼らより序列が下とは言い切れないが、そのインサイドハーフにもチアゴやミルナーといった経験豊富な選手が控えている。大勢の怪我人や新型コロナウイルス陽性などのアクシデントが起こらない限りは南野の出場機会の大幅増は考えにくい。
今回の勝利によってリバプールはプレミアリーグ、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント、カラバオカップ(決勝のみ)、FAカップと引き続き4つのコンペディションを後半戦に戦うこととなった。今後はさらなる過密日程が予想されるが、その中で南野にはどれだけのチャンスが訪れるのだろうか。
(文:安洋一郎)
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