「『行こう』と決めた次の日には…」
――天野選手にとって海外移籍は2度目になります。環境を変えるのであれば国内移籍でも可能だと思いますが、あえて海外に飛び出す理由があるのでしょうか。
「ロケレンの時の厳しさや辛さを知っているので、また海外に移籍するとは自分でも思っていなかったです。ただ、今回みたいに思い切って環境を変えないと自分が変われないとわかってもいます。
何が正解かは最後まで本当にわからなくて、数年後になりたい自分をイメージしながら、今回の移籍という決断に至りました。でも、マリノスから『いらない』と言われない限り、他のJリーグのクラブでプレーすることはイメージできないです」
――やはり移籍を決めるまではかなり迷われたのですね。
「蔚山現代から打診があったのは昨年のシーズンが終わる前だったので、考える時間が結構ありました。もちろんマリノスでスタメンを奪う自信もあるので、『行こう』と決めた次の日には『やっぱりマリノスでやろう』と思ったり……。本当にその連続の毎日でしたね。
前回のロケレンへの移籍だったら、その先で欧州の違う舞台にステップアップすることを目標にしていたので、すんなり『行こう』と思ったんですけど、今回の海外移籍は意味合いが違う。年齢的にもステップアップより自分自身との戦いの方が大きな決め手になりました。
もちろんマリノスは自分を必要としていることを示してくれました。今回の移籍にあたっては、夢を応援してくれるクラブの強化部や関わっている全てみなさんに、感謝しなければいけないと思っています」
――自分自身への挑戦という気持ちがあっても、外から見た時には「レギュラー争いで後手を踏んだから」という見られ方もあったのではないかと思います。
「外からの見られ方を気にすることも必要かもしれないですけど、自分としてはプライドを全て捨てての期限付き移籍なので、そこはあまり考えていませんでした。今が選手としてのピークだとは思っていなくて、この先の2、3年後に自分をピークに持っていって、例えばマリノスをJリーグ優勝に導くとか、Jリーグでベストイレブンに選ばれるとか、JリーグMVPを獲るとか、そこまでの自分を考えた時に、この移籍が必要なんじゃないかと考えました」