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世界が注目する「プレスマスター」とは? それは師匠クロップによって…【マルコ・ローゼの章・前編】

text by 結城康平 photo by Getty Images

今季からボルシア・ドルトムントを率いるマルコ・ローゼ。順調にキャリアを歩む「プレスマスター」と称される監督哲学に迫る。好評発売中『フットボール新世代名将図鑑』から、宝石ハーランドを授かった昇竜のプレッシングマスターとして収録「マルコ・ローゼ」の項を一部抜粋して前後編で公開する。今回は前編。(文:結城康平)

「クロップによって、我々のフットボール観は作られた」

マルコ・ローゼ
【写真:Getty Images】

 マルコ・ローゼはドイツで活躍した元DFヴァルター・ローゼの孫としてライプツィヒで生まれ、ロコモティーヴェ・ライプツィヒでプロ選手としてのキャリアをスタートさせた。2000年にハノーファーに加入すると、2002年には1部に昇格。その後、2002年に加入したマインツで8年間プレーすることになる。

 6年間彼を指導したのが、ユルゲン・クロップだ。ハノーファーではラルフ・ラングニックの指導も経験した男は、クロップによってローンから完全移籍でチームに加入する。ボルシアMG時代の経験について、ローゼは「クロップによって、我々のフットボール観は作られた。フットボールについてもいろいろなことを学んだが、何よりも人間的な部分で影響を受けた」とコメントしている。

 指導者としてキャリアをスタートしたのは、マインツ時代。引退を決めたラストシーズンからセカンドチームでアシスタントコーチを兼任し、引退後には正式にコーチに就任した。

 すでにクロップはチームを離れていたが、マインツのセカンドチームで指導をスタートした男は、2012年にはもともと所属していたロコモティーヴェ・ライプツィヒの監督に就任する。下部リーグでの監督業は1シーズンで終わったが、そこで彼の能力に目をつけたのがレッドブルグループだった。プレッシングを主軸とする彼らはグループのフットボール哲学に適合可能な若手指導者を求めており、ローゼを抜擢することになったのだ。

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 オーストリアのレッドブル・ザルツブルクのユースコーチとしてU-16の指導をスタートすると、のちにU-18に個人昇格。最大の成功となったのが、2016/17シーズンのUEFAユースリーグ制覇だろう。

 オーストリアの新鋭は、マンチェスター・シティやPSG、アトレティコ・マドリーやバルセロナのような強豪を撃破して欧州の頂点を掴むことになる。ザンビア出身のストライカー、パトソン・ダカを中核としたチームは、素晴らしいパフォーマンスを披露した。

 コーチとしての実績を評価されたローゼは、2017年にトップチームの監督に就任。在籍期間にはヨーロッパリーグでも上位に進出し、ホームでは無敗という記録を樹立した。2019年にボルシアMGの監督に就任すると、2020/21シーズンのチャンピオンズリーグでは決勝トーナメントに進出。来季からはボルシア・ドルトムントへの就任が発表されるなど、その監督としてのキャリアは順調のひと言だ。

(文:結城康平)

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