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ネイマールすら“変える”手腕。次期「世界最高の監督」となるのは…【ジョルト・ローの章・後編】

text by 結城康平 photo by Getty Images

昨季チェルシーのCL制覇に大きく貢献したジョルト・ロー(チェルシー アシスタントコーチ)。そのキャリアのスタートと恩師トゥヘルが評価する能力に迫る。好評発売中『フットボール新世代名将図鑑』から、世界的名手をチームプレーヤーに導くマンマネジメントの達人として収録「ジョルト・ロー」の項を一部抜粋して前後編で公開する。今回は後編。(文:結城康平)

「違う視点からフットボールを解釈する」能力

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【写真:Getty Images】

 ロンドン到着数日でトレーニングを指導し、息をつく暇もなくリーグ戦に挑むことになった彼らは、それでもまったく準備不足を感じさせないパフォーマンスでメディアを驚かせている。これこそが、トップレベルで磨かれたコーチングチームの力だろう。

 ローはチェルシーの選手たちが持つポテンシャルを高く評価しており、同時にプレミアリーグでトップレベルの指導者たちと競い合う毎日を楽しんでいる。ネイマールやムバッペをチームプレーヤーに変貌させたローのスキルについて、トゥヘルは次のようにコメントしている。

「彼はどんな状況でも笑顔を絶やさず、選手たちに寄り添っている。その選手の母国語を喋れなくても、積極的にコミュニケーションしようとする姿勢こそが特別なものだ。彼のような指導者を信頼しない選手はいない」

 ドレッシングルームの雰囲気を明るくするローの存在は、レジェンドであるフランク・ランパードが解任されたチェルシーでは特に重要だろう。優しく選手たちをサポートする一方で、トレーニングでは手を抜くことを許さない。トゥヘルの右腕として存在感を放つ男は、選手と絶対的な信頼関係を築くことで、トレーニングの効果を最大化していく。

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 トゥヘルが評価するもう1つの能力は、建設的な批判によって「違う視点からフットボールを解釈する」能力だ。トゥヘルにとって、ローは考えを共有するだけの存在ではない。彼は日々トゥヘルに質問を投げかけることで、新たな発想を提供している。若手コーチらしくラップトップも使いこなしており、テクノロジーの重要性も理解している。

 同時に統計学の勉強も欠かさない彼は、PSG時代にバイエルン・ミュンヘンの分析に「ゴール期待値」を活用。実際の得点データだけでなく、どれだけ得点に直結するチャンスを創出していたかを調べていた。

 すでにドイツでは、古巣のホッフェンハイムを含めた複数のクラブがローを次期監督候補としてリストアップしている。ライプツィヒの指揮官であるユリアン・ナーゲルスマンも彼の実力を認めており、個人的にメッセージを交換しているようだ。そのように評価を集める若手指導者は、数年後には監督としてのチャンスを掴むに違いない。

(文:結城康平)

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