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驚異の逸材続々…過熱の一途を辿るスカウト網、その大陸とは?【レッドブルの戦略(3)】

text by カラン・テージワーニ photo by Getty Images

巨大エナジードリンクメーカーがなぜサッカー界に照準を合わせたのか、アンチも注目せざるを得ないその巧妙かつ革命的な戦略史を辿る『エクストリームフットボール』(12月20日発売)より、一部抜粋して全3回で公開する。今回は第3回。(文:カラン・テージワーニ)

「規律の面で課題があるというイメージを払拭してくれました」

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【写真:Getty Images】

 ザルツブルクの広いスカウティングネットワークは、ヨーロッパ屈指の多様性がある若手中心のチームを構成していることを可能にしている。2019年9月、チャンピオンズリーグのリバプール戦ではスターティングメンバーの4人がオーストリア人、2人がザンビア人、デンマーク、カメルーン、ハンガリー、日本、韓国から一人ずつが選ばれた。ベンチにはガーナ、マリ、ブラジル、スイス、ノルウェー、日本、オーストリアの選手が名を連ねた。

 このような多様性のあるザルツブルクのアプローチは特にアフリカにとってポジティブだ。シワレはザルツブルクを次のように賞賛している。

「ザルツブルクのアプローチは我々アフリカのクラブにとっても喜ばしいものです。なぜなら、今まで多くのアフリカ出身選手がヨーロッパで失敗してきたからです。彼らは能力がある一方で適応に苦しむことが少なくありませんでした。ザルツブルクによって若い時期に適応するチャンスを与えられれば彼らには成功が待っています。ザルツブルクは若い選手を獲得し、24~25歳のタイミングで強豪クラブに売却しています。

 若い選手を獲得する強みとして彼らにサッカーを教えることが容易いという点もあります。ザルツブルクは若手を育成することで成功しているという意味では新しいアヤックスのようです。

 彼らはヨーロッパの大会でも存在感を放っており、2019/20シーズンはプレシーズンにチェルシーやレアル・マドリーとも対戦しました。チャンピオンズリーグのリバプール戦では若い選手が躍動していました。ケイタやダカ、ムウェプの頑張っている姿を見られたのはうれしかったですよ。彼らは指導者のレベルを高めることで、選手たちのポテンシャルを最大限に引き出しています」

 短期的な目線で言えばダカとムウェプの目標はザルツブルクでの成功だ。しかし、その先にはヨーロッパの強豪クラブへの移籍と代表チームでの未来を見据えている。

 シワレは次のようにコメントしている。

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「周知の事実ですが、リバプールはレッドブルグループの選手を積極的に視察しています。エノック・ムウェプは熱狂的なリバプールサポーターなので、彼がリバプールでいつかプレーする姿を見てみたいとは思っていますね。

 それはもちろん狙って叶えられる夢ではないけれど、選手たちは日々のトレーニングとゲームで全力を尽くすことでその価値を強豪クラブにアピールしています。ダカは見事にハーランドの穴を埋め、若手のアフリカ出身アタッカーには規律の面で課題があるというイメージを払拭してくれました」

 ラングニックのファーストシーズンとなった2012/13シーズンから、レッドブル傘下では19人のアフリカ人プレーヤーがプレーしてきた。その内訳は5人がマリ、2人がザンビアで2人がナイジェリア。そして、セネガル、ベナン、ギニア、カメルーン、コートジボワールからそれぞれ1人だ。アフリカでのスカウティングは加熱の一途を辿っており、レッドブルグループからはさらに逸材が巣立っていくはずだ。

(文:カラン・テージワーニ)

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衝撃的ともいえるそのスピードと徹底的なチームの献身性――。レッドブル・ザルツブルク、RBライプツィヒなどの背後に君臨するレッドブルグループは世界中のスポーツ界で勢力を伸ばしつつある。一方でピッチ外でも展開されるマーケティングによって利益を得ることに長けた彼らのアンチも少なくない。巨大エナジードリンクメーカーがなぜサッカー界に照準を合わせたのか、アンチも注目せざるを得ないその巧妙かつ革命的な戦略史を辿る。

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【了】

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