「納得できたら辞められるのかな。でも…」
来季のJ2は大分トリニータ、徳島ヴォルティス、ベガルタ仙台、横浜FCの降格組4チームとロアッソ熊本、いわてグルージャ盛岡の昇格組2チームが加わるものの、圧倒的なビッグクラブは存在しない。それだけに、今季のベースを引き継げる町田はチャンスだ。38歳になる鄭大世自身も「完璧な1年を送りたい」と語気を強める。
「目指すのは、もちろん2ケタ得点。スタメンで出て、完璧なシーズンを戦い、納得できたら辞められるのかな。でもきっと2ケタ取ったら『まだまだやれる』と自信が湧いてきて、現役続行に傾くんだと思います(笑)。
今季の途中には『ゴールを取っても咆哮してないな』と自分の映像を見て感じたりしてましたけど、やっぱりスタメンから外された時の悔しさは全然変わらない。試合に出れなかったときは泣きながら車に乗って帰ってますからね(苦笑)。プレーヤーとしての執着心はすごくあるし、これだけの負けじ魂があるうちはピッチで戦える。来季はやりますよ」
54歳のカズゴールを目の前の見せつけられた以上、「人間ブルドーザー」と言われた30代の点取り屋がへこたれているわけにはいかない。J1トップレベルのDF陣と互角以上に渡り合えた「ジャパンオールスターズ2021」は鄭大世のモチベーションを上げる最高の機会になったはず。いいオフを過ごし、キャリアの集大成となるべき2022年は開幕から豪快なゴールラッシュを見せてくれることを強く祈りたい。
(取材・文:元川悦子)
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