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伊東純也は「この順位にいるのは初めて」な苦境をどう乗り越える? 大低迷のゲンクで芽生える“自覚”【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

10人の相手に逆転負けを喫し…



 伊東自身のプレーは全く悪くない。むしろゲンクのチャンスメイクはほぼ伊東に頼りきりで、どうにか右サイドで背番号7が前を向いてドリブルを仕掛けられるようにボールを動かしていく。それだけが頼みの綱のような状況になっていた。

 右サイドの高い位置で伊東がボールを持って仕掛けられれば、爆発的なスピードでほぼ確実に突破してクロスまで持ち込める。そこだけは無双状態に近いのだが、他の局面で歯車がことごとく噛み合わない。その原因を、伊東は次のように分析していた。

「コンビネーションというより、結構(他人に)任せっきりのプレーが自分に限らず多いかなと。前は前に任せて、守備は守備に任せてみたいな感じになっているかなと思いますね」

 確かに前線までボールを運べても3トップは孤立しがちで、追い越したり寄ってきたりする選手は少ない。試合を通じて主導権を握っているのに、ボールを失ってカウンターを食らうと自陣で戦っている選手が少なく、簡単にシュートまで持ち込まれてしまう。チームがチームとして戦えていない印象があった。

 相手が前半のうちに10人になって「(0-1から)逆転した時点で絶対に同点にもされちゃいけない」試合だったクラブ・ブルッヘ戦でも、結果的に3失点。「失点が軽い」と伊東が指摘した通り、どれも防げる手立てのある失点だった。

 前半の1失点目は伊東の寄せが甘く、簡単にアーリークロスを上げられたところからゴールを許した。2失点目は自分たちのミスからボールを失ってサイドに展開され、最後はゴール前に人数が揃っていたにも関わらず、相手に寄せきれなかった。3失点目はコーナーキックからノーマークの選手にヘディングシュートを叩き込まれてのもの。反省点は山ほど出てくる。

「あれだけ押し込んで回していて、やっぱりやられちゃいけないと思いますよね。(3失点目の直前で)簡単にコーナーキックにしたのもよくないし、その前の(2失点目の場面では)GKから蹴ってラインを割った瞬間の切り替えが遅い。それで逆サイドにいかれて、そのままイージーにゴールを決められて。(最近は)ロングボール1本で…みたいなのばかりなので、ああいうのはもったいないと思います。ディフェンスだけのせいじゃないですし、多少は個々に責任があると思います」

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