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南野拓実はどのようにリバプールを救ったのか? 地獄へ落ちかけたが…報われた真摯な姿勢【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

劇的同点弾でチームを危機から救ったが…

南野拓実
【写真:Getty Images】



 後半アディショナルタイムに入ってもレスターのリードは覆らず、リバプールは敗退濃厚かに思われた。そこで輝いたのが、すでに1アシストを記録していた南野だった。95分、ミルナーが右サイドの浅い位置からアーリークロスを上げると、ボールはクリアしようと跳んだレスターのMFウィルフリード・ディディの頭を越えて南野の足もとに届く。

 残り時間を考えれば、おそらく最後のチャンスだっただろう。あの一瞬、まるで時計の針が止まったかのような錯覚すら覚えた。ミルナーからのクロスを胸でコントロールした南野は、ふかさないように慎重に、かつコンパクトに右足を振って素早くシュートを放つ。ボールはGKカスパー・シュマイケルの手をかすめ、ゴールネットに吸い込まれた。

 アンフィールドは爆発したかのような大歓声で沸き、中継のカメラも小刻みに揺れるほど。劇的な同点ゴールで南野がリバプールをカラバオ・カップ敗退の危機から救った。

 その勢いのままに突入したPK戦でも、リバプールの選手たちは順調にゴールを揺らしていく。1人目のミルナーからフィルミーノ、オックスレイド=チェンバレン、MFナビ・ケイタと4人目まで全員が成功した。

 さらにリバプールのGKクィービーン・ケレハーはレスターの4人目だったDFルーク・トーマスのPKをセーブしてチームを盛り立てる。そして、あと1人決めれば準決勝進出という5人目を任されたのは、1得点1アシストで気を吐いた南野だった。

 大事な場面を任された日本代表は慎重にボールをセットし、短めの助走から右足でシュート動作に入る。しかし、丁寧に蹴られたはずのボールは無情にもクロスバーの上へと外れていってしまい、南野は膝から崩れ落ち、悔しさのあまり何かを叫んだ。ゴールの背後を埋めていたレスターのサポーターは大喜びだ。

 だが、天国から地獄へと滑り落ちたような絶望感に襲われていたであろう南野を、後輩のケレハーが救ってくれた。サドンデス方式に入ってすぐ、先攻だったレスターの6人目、DFライアン・バートランドのPKをケレハーが左に跳んで完璧にセーブする。そして、最後はリバプールの6人目を任されたジョタが落ち着いて決めて試合終了。薄氷の戦いを制したリバプールが準決勝へと駒を進めた。

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