リカルド・ロドリゲス監督の手腕
スペイン人指揮官が躊躇なく大改革を推進した結果、大分との決勝に臨んだチームは、息も絶え絶えにシーズンを終えた12ヶ月前のチームとはほぼ別物となっていた。長年の功労者だった柏木陽介や武藤雄樹は夏までにチームを離れ、杉本健勇も去っていった。
阿部、宇賀神、槙野に続いて、もう一人のレジェンドである興梠慎三にも最後の時が近づいているようだ。北海道コンサドーレ札幌を率いる恩師ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が補強リストの一番手にリストアップしていると盛んに噂されている。
ロドリゲス監督が結果を残しつつチーム改革を実現させた手腕は大きな称賛に値する。そして、これほどの劇的な変化の中でもメンバー内に団結力を持たせ続けることができる監督は滅多にいない。
準決勝や決勝後の選手インタビューから窺い知れる限りでは、多くの重鎮選手の退団が決定したり濃厚になったりした状況でも、チーム内の士気に影響はなかったようだ。セレッソ大阪との準決勝で先制点を決めた宇賀神も、また槙野も、来季赤いユニフォームを着続ける選手たちのためにACL出場権を置き土産にして有終の美を飾ることへのモチベーションの高さを口にしていた。
チームの進化を次のステージへ引き上げるのはもちろん簡単なことではないだろうし、まだまだ多くのハードルが残されている。だが確かな自信を得て第一歩を踏み出した姿を見ていると、新生浦和レッズの未来は明るいように感じられる。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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