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久保建英 3年前

久保建英は誰も止められなかった。ドリブルにパス、全てが別格。それでも…立ちはだかった厳しい現実【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

マジョルカの限界を感じた



 しかし、これだけ久保が躍動しながら、周囲のサポートが物足りず90分間で奪えた得点は1つのみ。守備陣は耐えられず、39歳ホルヘ・モリーナにハットトリックを許すなど大量4失点を喫し、年内ラストのリーグ戦を締めることになった。

 スコア以上の差はなかったように感じるが、マジョルカはとにかく後半の戦い方がもったいなかった。前半は割と丁寧にビルドアップする意図が見られたが、明らかにイ・ガンインとイドリス・ババの両者が狙われており、彼らはボールロストを多発。それを受けルイス・ガルシア・プラサ監督は最初の交代でイ・ガンインをベンチへ。そこからマジョルカの攻撃は、相手のプレスがそこまで厳しくないにも関わらず、徐々にロングボール主体となっていった。

 贔屓目なしに、この日の久保のパフォーマンスを考えれば、同選手を中心に据え、そこから攻撃を展開する方がグラナダにとってはダメージが大きかったように感じた。しかし、上記した通りマジョルカはその久保の良さを消すようなサッカーを展開。これは致命的なミスと言ってもいいだろう。

 ただ、これがマジョルカの現実でもある。チャンスメークできる久保を中心にしてパスを動かすよりも、敵陣深くに蹴り込んで全体のラインを上げた方が確かに不用意な位置で失うリスクは小さい。そうなると、力のないマジョルカはリスクの小さい方を選択する。久保の活躍ぶりは見事だったが、チームとしては「これが限界だ」と感じさせる内容となった。

 グラナダ戦の久保はまさに孤軍奮闘だったが、これから先も恐らくそういった内容のゲームが多くなるだろう。引き続き注目だ。

(文:小澤祐作)

【了】

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