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三笘薫のベルギー挑戦を追って(前編)。存在感は圧倒的、しかし「いま、充実していますか?」の問いには…【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

「いま、充実していますか?」の問いに…

三笘薫
【写真:舩木渉】



 一方、三笘にとっては複雑だろう。日本代表合宿中の取材では「試合に出るためにウイングバックが最適だったというのはあります」と話していたが、どこか不本意なものも割り切って受け入れているような口ぶりだった。

「点が取れるウィングバックであることはもちろん大切ですけど、それ以上に上下動だったり、守備のところを求められると思うので、もちろん攻撃だけにフォーカスせずに、どちらもできるようにしないといけないと思っています」

 3-5-2というシステムには最も得意とするウィングのポジションがなく、2トップには試合数を上回るようなペースでゴールを量産するストライカーたちが君臨する。ならば試合に出るため左ウィングバックに挑戦するしかない。不得手な守備でも体を張りつつ、自らの存在感をアピールするにはゴールという結果を求められる。

 実際、ハットトリックを決めた直後の試合から潮目が変わった。わかりやすいと言えばわかりやすいが、胸中おだやかではないはず。だからこそ、ゴールを決めた試合の直後にあえて聞いてみた。

――いま、充実していますか?

「いや、全然です」

――それは、なぜ?

「いやあ…まあ…苦しいですよ、もちろん、いろいろと。もがきながらやっています」

 このやり取りだけでも、三笘が大きな葛藤を抱えながらプレーしていることが伝わってくる。しかし、インタビューはここで時間切れ。というのも、室内に十分なスペースがないスタッド・ジョセフ・マリアンの取材エリアはピッチ脇にあり、ルーヴァン戦を終えた三笘は雨に打たれながらインタビューに応じてくれた。

 寒さも厳しく、3分ほどで広報からシャワーを浴びるよう促されると駆け足でロッカールームへ戻っていく。「苦しい」と語った背景には何があるのか、最も気になる部分を深く聞くことはできなかった。

>>後編に続く<<

(取材・文:舩木渉)

【了】

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