2試合連続で先発起用。アシストで連勝に貢献
ルーヴァン戦でゴールを決めたことで、また潮目が変わり始めた。三笘はシント=トロイデン戦に続き12日に行われたメヘレン戦でも先発フル出場を果たしている。そして、35分にドリブル突破からの鋭いクロスでダンテ・ヴァンゼイルの先制ゴールをアシストして2-0の勝利に大きく貢献した。
途中出場でなくとも前半からゴールに絡むパフォーマンスを発揮できることを、自らの結果で証明したのである。「自分のプレー、どういうプレーヤーなのかを認めさせないといけない」という言葉通りに、三笘は結果で自分の価値をチームメイトや監督、サポーターに示した。おそらく今後はもっと重要な選手として評価されていくことになるだろう。間違いなく彼のドリブルは対戦相手の脅威になっており、最近ではかなり警戒されるようになってきている。
それでも「全然やれていない」という思いは変わらないだろうし、左ウィングバックという役割に対する葛藤も残っているはず。それでも悩み抜いた末に自分の成長のためとして消化しながら、前に進もうとしている。
三笘はベルギーで単なるドリブラーというイメージから脱却し、攻守で激しく戦ってゴールも奪える万能アタッカーへと進化する途上にある。いまはまさにサナギが殻を破って羽化する目前。美しい蝶のようにピッチ上を舞う姿で、ヨーロッパの目の肥えたサッカーファンの視線を釘づけにしてもらいたい。
ゴールを量産しているヴァンゼイルとデニス・ウンダフの2トップが冬に資金力のあるクラブへ引き抜かれるようなことがあれば、いよいよ三笘がユニオンのエースにならなければいけないシナリオも考えられる。
そうなればより高いプレーのクオリティや結果を求められることになるだろう。昇格組のクラブが優勝争いで生き残るためには、圧倒的なスピードで成長し続ける必要がある。だからこそ、自分を試される厳しい環境に身を投じ、苦しみもがいた先には必ず明るい未来が待っている。三笘の言葉を聞くうちに、そんな確信が生まれてきた。
(取材・文:舩木渉)
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