「そこだけの選手にはなりたくない」

――正直、これだけ結果も出していて「やれていない」と感じているのにはびっくりしました。途中出場するとスタジアムが沸くし、途中から出たら何かやってくれるという雰囲気がチームにもサポーターにもでき始めています。それにはいい面もありつつ、納得いかない部分もあるのでしょうか。

「もちろん先発で出てナンボだと思っているので、途中での役割もわかっていますし、流れを変えられるとも思っていますけど、そこだけの選手にはなりたくない。今日みたいな試合（シント＝トロイデン戦）でどれだけの結果を残せるか。もちろんチャンスはあったので、そこを決め切るところであったり、もっともっとハードワークしたいなと思います」

――左ウィングバックにまだ葛藤はある、と。

「難しいですね。最終ラインまで戻るところと、（前に）出ていくところと、上下動が激しいので、そこでいかに自分の特徴であるドリブルを出していくかというのは考えながらやっていますけど、なかなかまだ（最適なバランスを）つかめてはいないです」

　慣れないポジションにトライしながら結果を残し、なおかつ課題とされてきた守備面での粘り強さなども向上させて、確実に成長しているように見える。一方で、三笘が自らに要求するレベルは我々が想像しているよりもはるかに高いのである。

　なぜなら目指さなければならないのはベルギーリーグで通用する選手ではないかから。保有元のブライトン＆ホーブ・アルビオンが戦うプレミアリーグの舞台で活躍できる選手になることを常に意識してプレーしている。

「（ユニオンとブライトンは）システム上、同じところもあります。でも、スタイルとか強度は全然違うので、そこ（ブライトン）でやれるとは全く思っていないので、この1年かけてもっともっと強度を上げていかなければいけないと思います」

　三笘が言うように、現在のブライトンはユニオンと同じ3-5-2で戦う試合もある。将来的にそこで活躍するには、左ウィングバックでの強度の高いプレーを体得してベルギーでは圧倒的な選手になる必要がある。