昨季より大幅にレベルアップしたのは…
これでマドリーは怒涛の公式戦10連勝となった。しかも対戦相手はインテル、セビージャ、レアル・ソシエダ、そしてアトレティコと曲者揃いだったのだから、恐るべき強さである。
さらに凄いのは、この10連勝のうち、最少得点に終わったのが12月1日に行われたアスレティック・ビルバオ戦の1試合のみということだ。
昨年の今頃、ジネディーヌ・ジダン監督率いたマドリーは得点力不足に悩んでいた。とくに不発だったのがウイング勢。ベンゼマのみが、頼りだった。
しかし、今のマドリーに上記したような姿はない。やはり大きいのはヴィニシウスの覚醒だろう。以前までは独善的なプレーが目立ち、仕上げの質も低かったが、今は「自分でやらなければ!」という焦りのようなものは全くなく、状況に応じて的確な判断を下せるようになった。このアトレティコ戦でもボールを持ちながらしっかりと味方の位置を把握し、2アシストを記録。昨季までのヴィニシウスであれば、このような結果は残していなかったかもしれない。
ブラジルの若きFWがゴール前で抜群の怖さを示すことにより、ベンゼマやアセンシオらにチャンスが巡ってくる回数も増えている。前者はもちろんのこと、後者がコンスタントに結果を残せるようになってきたのも、マドリーにとっては大きな意味を持つ。
押し込まれてもしっかりとしたディフェンスで跳ね返し、ヴィニシウスから速攻を仕掛けてベンゼマやアセンシオ、あるいはそのままヴィニシウスが仕留める。チャンピオンズリーグ(CL)・グループリーグ最終節のインテル戦、そしてこのアトレティコ戦にも言えるが、マドリーの攻撃は質が高いのはもちろん、非常に効率が良い。だからこそ、停滞感を感じることが少なくなっている。これは大きなストロングポイントと言っていいだろう。
強固なDF陣に相変わらずクオリティーの高い中盤、そして昨季より大幅に上がった攻撃力。これらを備えるレアル・マドリードの連勝記録は、果たしてどこまで伸びていくのだろうか。
(文:小澤祐作)
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