フットボールチャンネル

久保建英 3年前

久保建英に一体何があったのか。約25分間でタッチ数わずか2回、ここまで沈黙した理由は…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

まるで昨季のヘタフェの試合…



 この日のヴィジット・マジョルカ・エスタディは強風に見舞われていた。久保が出場した後半はセルタが風上、マジョルカが風下となっている。

「この風の中でプレーするのは非常に難しい」と試合後にセルタMFレナト・タピアが話した通り、強風の影響で不規則にボールが動くので、両チームの選手たちはコントロールするのに相当苦労していた。とくに、後半は風下だったマジョルカはより厳しかった。

 セルタが大きく蹴ったボールが風に乗って思った以上に伸びるので、必然的に自陣深い位置へ押し戻される。それに加え相手はハイプレスをかけてくるので、マジョルカはパスを捨て、リスクを冒さず簡単に蹴り返すことがほとんどだった。後半のパス数は74本、成功率は52%だったというデータを見ても、同チームに繋ぐ意識がなかったことは明らかだ。

 また、セルタが右サイドからの攻めを多くしていた(全体45%)ことで、マジョルカは必然的に左サイドでのプレーが増えていた。上記した通りホームチームに繋ぐ意識はないので、当然サイドチェンジなどもなく、縦に一本蹴り込む場面が散見。そもそも、久保のいる右サイドにボールが回ってくることがほぼなかった。

 強風の影響で思ったようにコントロールが定まらず、お互いがリスクを冒さず蹴り込むためボールが宙に浮いている状態が続き、さらにマジョルカの基本プレーエリアが左サイド。久保のタッチ数が2回となったのも納得がいく。今回は「強風」という特殊な条件下での試合だったが、まるで昨季のヘタフェの試合を観ているようだった。

 久保にとってセルタ戦はすごく残念な結果となったものの、どうしようもない状況だったのは事実なので、もちろんそこまで悲観すべきではないだろう。次節、年内最後のリーグ戦となるグラナダ戦で魅せてほしいところだ。

(文:小澤祐作)

【了】

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!