4バックの責任は軽い
この日のアーセナルは2失点を喫したが、4バックの責任はそこまで大きくないと言える。右サイドバックの冨安健洋はリシャルリソンやデマレイ・グレイと対峙したが簡単に負けず、ベン・ホワイトとガブリエウ・マガリャンイスは不安な部分もあったが最後の局面では身体を張った。キーラン・ティアニーも危うい対応などは少なかった。
むしろ責任を感じるべきはグラニト・ジャカ、そしてトーマス・パルティのダブルボランチと言えるだろう。とくに、後者だ。
トーマスの能力に疑いの余地はないが、ここ最近は明らかにパフォーマンスレベルが低い。この日もボールロストは多く、デュエルの勝率は低く(『Squawka』によると14回中9回敗北)、ポジショニングも悪かったなど、攻守においてサポーターを落胆させた。
57分の場面では、中央でボールを受けたアランにジャカと共に寄せてしまったことで、ドゥクレがフリーに。そこへパスを出され、内側に絞っていたブカヨ・サカが最後まで懸命についていったのだが止められず、ラストパスを出されてリシャルリソンにゴールネットを揺らされている。結果オフサイドで取り消しになったものの、フィルターとして機能していないことがわかる場面であった。
アルベール・サンビ・ロコンガとジャカのコンビではディフェンスに不安があるなど、ダブルボランチの人選は確かに難しいが、今のトーマスをスタメンで起用するのはリスクだろう。上記した通り、あまりにもパフォーマンスが悪い。
そうしたチョイスを含めアルテタ監督には“柔軟性”を期待したいところ。このままでは、その座を追われる可能性も少なくはない。
(文:小澤祐作)
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