まったく怖くない攻撃
まず反省しなければならないのが攻撃陣だ。
オーソドックスな4-4-2で構えるエバートンに対し、アーセナルの攻めはあまりにも迫力を欠いていた。後ろでボールは保持できるがなかなか縦にパスを入れられず、敵陣深くまで侵入していけないことが立ち上がりから多かった。事実、アーセナルは35分時点で支配率60%を記録していたが、シュート数はわずか1本に留まっていた。
相手のダブルボランチ、アランとアブドゥライェ・ドゥクレは共に活動量が多く、状況によって果敢に前へ出てくる。そのため、そこの脇や背後は一つの狙い目となる。前節エバートンと対戦したリバプールはその弱点を効果的に突き、大量得点を奪っていた。
アーセナルは、トップ下に入ったウーデゴールがそこのエリアで何度か良い動きを見せていた。しかし、上記した通り後ろからの配球が少なく、結局は動き損になる場面が散見。あまりボールが来ないことによって1トップのアレクサンドル・ラカゼットも下がってきてしまうので背後を突くアクションも少なく、アーセナルの攻撃は単調なリズムを刻んだままの状態となっていた。
前半終了間際にウーデゴールが一瞬の隙を突いて先制点を奪ったが、後半もアーセナルの停滞感は拭えず。今度は同点に追いつこうとより前への意識を強めてきたエバートンのハイインテンシティーに手を焼いていた。
ラファエル・ベニテス監督は後半途中よりアンドロス・タウンゼントを下げてアンドレ・ゴメスを投入し、4-3-3へと変更。アンカーのアランでバランスを取りながら、それより前にいる選手には前からのプレッシャーを高いレベルで要求していた。アルテタ監督の修正がなかったアーセナルはその波に飲み込まれ、ついに1点を失っている。
ただ、アーセナルも80分過ぎからは相手をつり出しながらボールを着実に動かし、チャンスを作っていた。しかし、決定機をしっかりと活かしてきたエバートンとは異なり、アーセナルのFW陣は力不足を露呈。エディ・エンケティアはこの日最大の絶好機を逸し、ピエール=エメリク・オーバメヤンも後半アディショナルタイムにフリーでシュートを外した。
停滞感の否めない攻撃を長く続けながら、限られた決定機も決めきれない。これでは勝てないのは当たり前だ。