「本当に取り組む必要がある」と指揮官が語るのは…
当然のことだが、ファビーニョをCBで起用すると、その目の前にはフィルター役になるファビーニョはいない。そうしてリズムを失った昨季のチームは迷走した。だが、今季は違う。昨季は最終ラインに入ることもあったファビーニョやヘンダーソンを本職のポジションで起用できることで、引いてはチーム全体に「安定性」が生まれ、90分を通して集中が続き、高強度の守備が実現できているのだ。
もちろん、その「安定性」は完全無欠というわけではない。24分にアーノルドのスローインがコナテに届く前にボールを奪われてショートカウンターを喰らって、GKアリソンが1対1の局面を迎えてしまった。アリソンが決定機を迎えた点については、クロップ監督も「起こるべきではない」と試合後に不満を漏らしている。
ドイツ人指揮官は、次のようなコメントも残した。
「その点(安定性)について、我々は本当に取り組む必要がある。我々は、何とかして可能な限り安定し、真剣に、無慈悲な守備をしなければならない。それは我々にフットボールをプレーするためのプラットフォームを与え、それから我々はチャンスを創ることができ、そして我々は得点することができる」
つまり、スコアを4-0にしてからピッチ上に現れた“リバプールらしさ”は、この「無慈悲な守備」だったのだ。地獄を見た経験に裏打ちされた高強度のディフェンスの継続は、様子見の概念のないハイテンポな攻撃の実現に繋がり――、アンフィールドの観衆は沸騰し続けるだろう。
(文:本田千尋)
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