PSGのカウンターを止めたのは…
後半途中に中盤での運動量が落ちてしまったとはいえ、PSGにも勝機があった。試合の流れ関係なしに個人のクオリティで局面を打開できる選手が前線に揃っているからだ。
実際、ショートカウンターから何度かシティゴールに迫る展開があった。だが、その前にシティの右SBカイル・ウォーカーが立ちはだかった。
抜群のスピードとフィジカルの持ち主であるウォーカーは、フルスプリントで帰陣し、相手チームのチャンスを個人の能力で止めることができる選手だ。彼のようなプレースタイルの選手がいることで、シティは安心してハイラインに設定することができる。
グアルディオラ監督はPSGのようなカウンターが脅威のチーム相手だと、ウォーカーに対しては攻撃的なタスクをほとんど与えず、CBと同じラインを保ってカバーリングに対する強い意識を持たせている。
この試合でもウォーカーはその与えられたタスクを敢行。前半にジョン・ストーンズがボールを奪われてショートカウンターを食らった際には、シュートモーションに入ったムバッペに対して素早い寄せを行ったことでシュートは枠を大きく外れた。また、ムバッペとは左サイドで対峙することが多かったが、カウンターやドリブルを試みた場面で突破をさせなかった。
PSGが試合を通じてわずか7本のシュート、2本の枠内シュートに終わったのはウォーカーのカバーリング意識の高さも少なからず影響していた。
共にクラブ史上初のCL優勝を目指す両チーム。グループステージでの直接対決の結果は、熱戦の末に1勝1敗のタイに終わった。お互い決勝に進出する力を持っており、今季中に再び相まみえることはあるのだろうか。
(文:安洋一郎)
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