課題はまだ残されている
いずれにせよキャリック暫定監督の頭の中にはチーム作りにおいて明確な方向性があるようだが、それは主に現役時代にセンターハーフのポジションで培った戦術眼からくるものなのかもしれない。90分にジェイドン・サンチョが奪った追加点は、自陣左サイドでフレッジがフアン・フォイスにプレスを掛けてロナウドと連動して奪ったボールを、マクトミネイが再び縦にロナウドに繋いで仕掛けたカウンターから生まれたものだった。
キャリック暫定監督が元センターハーフの選手として、フレッジとマクトミネイにポジショニングやボールの奪い方について助言を送っていたとして何ら不思議ではない。
こうして新体制の初戦を「意味のある勝利」で飾ったマンチェスター・ユナイテッド。キャリック暫定監督が「まだまだこれから」と言うように、改善すべき“課題”は残されている。次はアウェイでチェルシーと対戦する。新体制に移行して間もない段階で、トーマス・トゥヘル監督のチームを相手に、このビジャレアル戦のような完勝劇は難しいだろう。しかし、今回のCLで“イエロー・サブマリン”を沈めたプレッシング+カウンターという意図的な守備戦術からの速攻は、分厚い雲の間に太陽が顔を出すような、プレミアの首位チームを苦しめる武器となる可能性を秘めている。
(文:本田千尋)
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