初陣からさっそく改善されたのは…
シャビ監督は守備時、高い位置からのプレスを徹底させている。ボール支配率を高めるため、そしてより敵陣でのプレータイムを増やすためだ。
ベンフィカも基本的にはボールを保持したいチームなのだが、バルセロナのハイプレスがそれを許さなかった。後ろはハイラインかつロナルド・アラウホ、ジェラール・ピケ、クレマン・ラングレの3人がそれぞれラファ・シルバ、ロマン・ヤレムチェク、エベルトンを見るなどかなりリスキーだったが、ベンフィカに綺麗に崩されたシーンは決して多くなく、うまくプレーしていた。
とくにアラウホのパフォーマンスは素晴らしかった。アグレッシブな守備で対峙したラファ・シルバを完全に封じ、背後のケアもほぼ完璧。ハイプレスを続けるには最終ラインの粘りが欠かせないが、そういった意味でアラウホが与えた安心感は絶大だったと言えるだろう。
ただ、この守備は相当なスタミナを消耗する。実際、シャビ監督の初陣となったエスパニョール戦では、60分過ぎあたりから全体の足が止まり始め、相手に数多くのチャンスを作られていた。
しかし、このベンフィカ戦ではインテンシティがガクッと落ちることはなく、エスパニョール戦のような状況に陥ることはなかった。初陣からわずか3日でこのあたりを改善してきたシャビ監督は、やはり流石と言うべきだろうか。
決勝トーナメント行きは難しくなったかもしれないが、シャビ監督の元、攻守ともにクオリティーが向上しているのは明らか。もちろんまだ課題はあるが、やはりこの男には期待できる。
(文:小澤祐作)
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