シャビのサッカーは疲れる
シャビ監督が求めるものは『ボール支配』そして『なるべく敵陣内でプレーすること』である。つまり、自分たちが常に攻めることで、相手に攻める時間を与えないということだ。
もちろん、バルセロナでもそのコンセプトを変えることはない。それは初陣となったエスパニョール戦でも大きく証明されている。
ボールを支配するためには、失ったボールはすぐに奪い返さなければならない。シャビ監督は前線に1枚残るデ・トマスをジェラール・ピケとE・ガルシアの2人に見させ、その他の選手にはガンガン前からプレスに行くことを求めていた。
事実、この日のバルセロナは計17回のファウルを犯したのだが、そのうち12回がエスパニョール陣内でのものだったというデータが出ている。これだけでも、いかにバルセロナが背後のリスクを承知で前に出ていたかがわかるだろう。
しかし、当然このサッカーは頭も体力も使うので相当疲れる。案の定、バルセロナは60分過ぎあたりから全体の足が止まり始め、エスパニョールに多くの決定機を作られた。今後、シャビ監督の求めるものを高いレベルで体現するには、チーム全体の走力やスタミナを上げていく必要があるだろう。
また、球際の強さもよりレベルアップさせなければならない。とくに右SBオスカル・ミンゲサ。同選手はこの日、何度も1対1で負けている。ボールを即時奪回し支配するには、奪うべき場所でしっかり奪う必要がある。1本長いボールを蹴られてピンチを招くようでは、シャビ監督の期待には応えられない。
と、守備面では課題を露呈したが、これはまだ一戦目。しかもインターナショナルマッチウィーク明けで、多少脆さが出るのは仕方ない。攻撃面でさっそく非凡なものを披露したシャビ監督であれば、守備面も徐々に良くしていくだろう。
ただ心配なのは怪我人の多さだ。エスパニョール戦ではブスケッツ、ニコ、そしてミンゲサの3人が負傷交代を強いられた。チームの台所事情は苦しいが、その点含めてシャビ監督の采配に注目していきたい。
(文:小澤祐作)
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