【写真提供:JFA】
【日本 1-0 オマーン カタールW杯アジア最終予選】
カタールワールドカップのアジア最終予選第6戦が現地16日に行われ、日本代表はオマーン代表に1-0で勝利を収めた。
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流れが変わったのは後半だった。ハーフタイム明けからMF三笘薫が交代出場し、積極的なドリブル突破などで停滞しがちだった攻撃にエナジーを注入。その後も交代選手たちが存在感を発揮し、81分の決勝点につながった。
三笘以外にも際立った存在感を発揮していた途中出場の選手がいる。DF長友佑都に代わって左サイドバックに入ったDF中山雄太は、今後に向けて大きな可能性を示した。
これまでセンターバックやボランチでプレーしてきた中山だが、U-24日本代表の一員として臨んだ東京五輪で本格的に左サイドバックに挑戦。今季は所属するオランダ1部のPECズウォレでも左サイドバックでポジションをつかみ、日本代表でも途中出場中心ながら好パフォーマンスを継続している。
「僕の中でサイドバックがうまくいっている要因は、1つのポジションをある程度の期間しっかりと連続してできたこと。手応えをつかみつつ、できているのかなと思います」
左サイドバックにトライし始めた当初は慣れないポジショニングや攻撃参加のタイミングなどを図るのに苦しんでいたが、数ヶ月の経験を積むことで「今までよりも課題を突き詰めやすい」と戦術的な動きや状況に応じたプレー判断などが熟達してきた。
そして、日本代表の左サイドバックとして生き残っていく道を模索しながら、「原点は東京五輪の酒井(宏樹)くんの基準がすごく大きい」とサイドバックとしての理想の姿も具体的に描けてきているという。
「僕の中での理想のサイドバックになったとしたら、おそらく今まで日本にいなかったようなタイプの選手になると思っています。抽象的ですけど、守れて、ゲームが作れて、なおかつみなさんがイメージしやすいサイドバックのような上下動もできるというのは、僕の中で理想としていて。
ただ守れるだけ、ただ攻撃できるだけじゃなくて、守れて攻撃もできる、なおかつゲームメイクもできる。今までたぶんそういうサイドバックはいなかったですし、世界でも本当に少ない、希少なタイプのサイドバックだと思うので、逆に言えばそれができたら、誰と組んでもバリエーションが出せる。そこが僕の中の理想のサイドバックなのかなと思います」
世界トップクラスのサイドバックは対人守備も攻撃参加もできて、なおかつ運動量もあり、ゲームメーカーの役割も担えるのが当たり前になりつつある。中山が描くイメージは現代サッカーにおけるサイドバックの理想形に近い。
ボランチの経験があるため中盤のサポートをしながらビルドアップに関わることができ、その際に求められるポジショニングも理解している。センターバックでもプレーしてきたように、対人守備の強さは折り紙つき。
中山はDFとMFのいいところ全部乗せなサイドバックになれるポテンシャルを秘めている。しかも左利きという付加価値まで持っていて、「世界でも希少な」特徴を持った選手に違いない。
日々の成長に自信を深め、安定感あるプレーで日本代表に貢献できることを示している中山が“ポスト長友”の最右翼だ。
(取材・文:舩木渉)
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