【写真提供:JFA】
【日本 1-0 オマーン カタールW杯アジア最終予選】
カタールワールドカップのアジア最終予選第6戦が現地16日に行われ、日本代表はオマーン代表に1-0で勝利を収めた。
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前半は完全に攻撃が停滞し、ボールを支配しながらも無得点。失点こそゼロに抑えてハーフタイムに突入していたものの、日本代表に重苦しいムードが漂っていた。
そんな難しいシチュエーションで途中投入され、チームの雰囲気をガラッと変えたのはMF三笘薫だった。MF柴崎岳との交代で後半開始からピッチに立つと、「最初のプレーは結構大事で、流れを持っていきやすいところはあるので、そこを意識してプレーしました」といきなり得意のドリブルで鋭く仕掛けて相手を驚かせた。
左サイドでパスをもらえば、積極的にドリブルで勝負を挑んでいく。前半とは全く違う日本のサイド攻撃の質に対処しきれないオマーン代表のバランスは徐々に崩れていっていた。
そして終盤の81分、ついに均衡が破れる。途中出場のDF中山雄太が左サイドでボールを持ちながら相手を引きつけて、ギリギリのタイミングで浮き球のパスを通す。それを受け取った三笘がクロスを入れ、逆サイドから走り込んでいたMF伊東純也がゴール前で左足を合わせた。
待ちに待った先制点。しかも後半に入ってから明らかに流れの変わっていたサイドが起点になり、日本代表デビュー戦の若者は決勝アシストを記録した。「勝利に導けたアシストができたので、そこは満足しています」と三笘は語る。
「まず最終予選は勝利することが一番大事なので、それに貢献できたのがよかったです。こういう起用のされ方は少し想定内なところがあったので、アシストで貢献できてよかったと思います」
だが、喜びは抑えめでつとめて謙虚に振る舞うのが三笘らしさ。冷静沈着に「いつでも、どんな状況でも想定して試合を見て、準備をしているので。ハーフタイム から出ることも何回もやってきましたし、途中から出ることも何回もやってきたのでので、常にそういうのを頭で準備しながらやっています」と振り返る。
確かに川崎フロンターレ時代も途中出場は多く、「いつも通りのシチュエーション」と三笘は言う。短いプレー時間でもゴールを量産していたのが記憶に新しい。一撃で試合の流れを変えられるドリブルの切れ味は、フロンターレ時代よりも進化しているかもしれないが。
ベルギー1部のロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズでは3-5-2の左ウィングバック起用が主ながら、途中出場でのハットトリックを達成するなどチーム内での評価は高まってきている。日本代表への定着とレギュラー奪取も十分に狙えるだろう。
もちろんワールドカップ予選突破への貢献と、その後のカタールワールドカップへの出場への期待も高まる。しかし、三笘は「ワールドカップのことは全く考えていないです」と、あくまで足元を見つめている。
「まずは(最終予選の)残り4試合を勝ち切ることしか考えていない。その先の自分たちのプレーしだいで変わってくるので、1年後の状況は読めないという感じで、僕自身、今日の1試合でそこまで周りの評価が変わるとも思っていないです」
自己評価が低いのか、冷静によく現実を見つめられているのか解釈は分かれるだろうが、いずれにしろ1試合の活躍で浮かれることのない落ち着いたメンタリティは非常に頼もしい。論理的に突破を図る必殺ドリブラーのさらなる飛躍が楽しみだ。
(取材・文:舩木渉)
【了】