最終予選突破のカギ
森保ジャパン発足後も2019年アジアカップでは柴崎のキックから冨安がゴールするような場面もあった。が、最近はそれも少なくなっている。期待のレフティ・久保建英が参戦していたらまた状況も違うのだろうが、現有戦力で改善策を見出すしかない。その道筋を見つけられないと、16日の次戦・オマーン戦ではもっと苦戦を強いられる可能性が高い。
逆にオマーンは同日の中国戦で右CKから同点弾を叩き出している。左足の名手・アルハルディのキックにお株を奪われる可能性すらある。
そうならないためにも、中4日の準備期間でリスタートを突き詰めることが肝要だ。キッカーの田中碧、柴崎のボールの質を合わせる側が理解し、どういうタイミングで入ればいいかを今一度、すり合わせるべきだろう。さらにロングスローやトリックプレーなど意表を突いた形をもっと作り込んでおくことも重要ではないか。日本サッカー協会の反町康治技術委員長が松本山雅を率いていた頃はそれを徹底的に行って、力技で得点を奪っていた。森保監督はそういうスタッフの力も借りられる環境にあるのだから、それを使わない手はないのだ。
この課題は単に最終予選突破のカギというだけでなく、世界で勝つためにも必要な点。本田と遠藤の直接FK2発で勝ち切った2010年南アフリカワールドカップのデンマーク戦などはまさにその象徴。あそこまでうまくいくことはそうそうないだろうが、この課題をクリアすることで、日本代表はもう一歩、先に進める。その布石を次こそは何としても打ってほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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