「点が入る雰囲気が足りない」原因は?
この日の森保監督は早いタイミングで積極的に選手を交代。ラスト15分のところで田中碧と柴崎岳を入れ替えたが、キッカーを変更するという狙いも含まれていただろう。2018年9月のチーム発足時からキッカーを務めてきた柴崎は吉田や冨安、遠藤航らと長年プレーしていて、お互いの呼吸が分かっていた。指揮官もそこに期待したはずだ。
けれども、日本代表は最後までゴールをこじ開けられない。逆にベトナムの捨て身の攻めにヒヤッとさせられるほどだった。吉田や冨安も疲労困憊で厳しかっただろうが、ゴールだけは割らせなかった。結局、試合は1-0のままタイムアップの笛。日本代表は最低限の結果だけは手に入れたが、またも不完全燃焼感の残るゲームになってしまった。
畳みかける攻撃ができないというのは、最終予選が始まってからずっと続いている課題だ。とりわけ、セットプレーを有効活用できていない点は大きな懸念材料だ。
「一番は点が入る雰囲気が足りない。そこは改善しなきゃいけないとずっと思ってるんですけど。1-0でリードしている時間が長い時に追加点を取れると楽になるなと。何とかしなきゃいけないと思います。今はそれをどうするのかが見いだせていない状況です」と経験豊富なキャプテンも頭を抱えている。
彼が日本代表入りした2010年以降、中村俊輔、遠藤保仁、本田圭佑、清武弘嗣…と、ひと蹴りで点を取れるキッカーが常にいた。その前の時代も中田英寿、小野伸二、中村憲剛ら名手がいたから、「最終予選で困った時にはリスタートから」という形が作れていた。だからこそ、悩みは深いのだろう。