「強度が足りなかったし…」
「強度が足りなかったし、ポジショニングもよくなかった。セカンドボールも鹿島に行ってしまった。非常に強い強度の流れからのプレーを見せた鹿島を称えたい」とショルツは話したが、そういう基準に合わせ、超えていくことが彼らの課題と言っていい。
インテンシティやデュエルを引き上げ、試合開始から互角の展開に持ち込めないとACL出場権はもちろんのこと、タイトルは手にできない。現状の厳しさを再認識させられたこの日の前半45分間だったのではないか。
戦術家のリカルド監督は巻き返しを図るべく、後半頭からユンカーに代えて小泉佳穂を投入。汰木康也と大久保智明も交代して修正を図った。それでもすぐには流れを引き戻せなかったが、後半の飲水タイム前後から攻め込む時間帯が増えていく。関根貴大が負傷した後、興梠慎三、槙野智章が登場した終盤はなりふり構わずゴールを奪いに行く泥臭い姿勢も見て取れた。
「レッズはACLの大舞台に戻らなきゃいけない」と槙野も口癖のように話していたが、それを果たそうと思うなら、1点のビハインドを跳ねのけ、同点、逆転に持ち込むしかない……。そんな悲壮感も彼らベテランからは感じられた。
だが、鹿島の堅守は最後まで崩れなかった。
「後半のラスト20分くらいうまく相手にボールを運ばれたが、粘り強く持ちこたえられたかなと。前のメンバーを代えて少し押し返すことができ、相手の時間を減らせた」と相馬監督は采配的中に自信をのぞかせている。ラストの時間帯は犬飼智也も送り込んで5バック気味にして、虎の子の1点を守り抜いた。その気迫こそが常勝軍団の意地なのかもしれない。
結果としてリカルド体制1年目の浦和は3位・神戸に8ポイント差をつけられ、ACL争いから後退してしまった。
ただ、浦和にはまだACLの可能性が皆無というわけではない。