勝ち切れなかった要因は…
前述したようにチーム全体として認識が共有できていなかったこともあるが、この試合に勝ち切れなった要因はそれだけではない。
試合を通して顕著に表れたのはヴェッラッティ不在による中盤の機能不全だ。
いつもならビルドアップ時にヴェッラッティが後方に顔を出し、自らのドリブルや長短のパスでスムーズにボールを前に進めていく。だが、この試合ではアンカーに入ったダニーロ・ペレイラが軽率なミスを繰り返し、DFも受け手を探すのに時間がかかってしまっていた。
さらに、攻撃面ではほとんどが3トップの個人技。1点目の華麗な連係からワイナルドゥムがゴール奪ったが、その他に決定的な仕事はほとんど出来ていなかった。
守備でもセカンドボールを拾えず、奪ってからは軽率なミスでボールをロスト。相手のプレスが激しかったこともあるが、確実に自分たちのボールに出来ていればもっと楽に試合を進められたはずだ。
だが、ヴェッラッティ1人でこの問題が解決するわけではない。今夏の新加入選手も多いため、まだフィットするには時間が必要となるが、この先も改善されなければCL優勝は難しいだろう。
(文:阿部勝教)