反対にミランは…
ローマの守備が機能しなかった一方で、ミランの守備は安定感を誇った。
ピオーリ監督下の基本はハイプレスである。もちろん、ローマ相手にもそれは変わらない。イスマエル・ベナセル、ケシエのダブルボランチも敵陣深い位置まで押し上げ、ビルドアップの制御を図っていた。
ただ、ハイプレスはハマれば強力だが、それなりにリスクも伴う。たとえば、かなり前掛かりになっているボランチの背後や脇を突かれたり、個で剥がされた場合は、必然的に大きなピンチになる。第9節ボローニャ戦ではそこから2失点を喫しており、今回のローマ戦でもその形は何度も見られた。
それでもミランが大崩れしなかったのは、ケアーの存在が大きいと言えるだろう。危険な場面には必ずと言っていいほど顔を出しており、身体を張ってローマの攻撃を跳ね返し続けていている。T・エルナンデス退場後、ミランは5-3-1の形で守りを固めたが、その中でもデンマーク代表DFの存在感は際立っていた。
安定した守備は必然的に良い攻撃へと繋がるが、ミランにはそれがあり、ローマにはなかった。その差が、今回の結果に表れたと言えるだろう。
(文:小澤祐作)
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