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Jリーグ 3年前

ルヴァンカップMVP、なぜ稲垣祥はゴールを決められるのか? ボランチで今季12得点、名古屋グランパスで遂げた成長とは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「間違いなくナンバーワンのゴール」



 そこからは「ウノゼロ勝利」を得意とするマッシモ戦術がズバリ的中した。セレッソ攻撃陣をアタッキングゾーンに入れさせない。松田陸の遠目からのシュートなどヒヤリとさせられるシーンは何度かあったが、強固なブロックは決して崩れなかった。セレッソは大久保嘉人や豊川雄太ら実績あるアタッカー陣を次々と送り込んできたが、中谷ら守備陣は高度な意思統一と集中力を維持し続けた。

 試合もラスト10分あまり。そこで名古屋の伝家の宝刀である高速カウンターが発動される。途中出場した齋藤学の高速ドリブル突破が始まりだった。

 左から上がった彼がアタッキングサードまで持ち込み、同じく後半からピッチに立ったエースFWシュヴィルツォクがフォロー。彼がエリア内の左から回り込んで強烈シュートを放ち、GKキム・ジンヒョンが弾いたこぼれ球に鋭く反応したのが背番号15。稲垣祥は迷うことなく右足を一閃した。勝利を決定づける2点目を叩き出し、名古屋に悲願のルヴァンカップタイトルをもたらしたのだ。

「ホントにあんないいこぼれ球が来てくれるんだったら、自分は決めないといけないと。ただ、ああいう舞台でも打つ瞬間は冷静に叩きつけることを意識しながら打てましたね。タイトルを決定づけるようなゴールを取れたことは、間違いなくナンバーワンのゴールかなと思っています」

 殊勲の稲垣は自身のフィニッシュの精度に胸を張った。それもそのはず、今季の彼はJ1で8ゴール、ルヴァン杯でもプライムステージ5試合で4点というゴールラッシュを見せているのだ。10月10日のFC東京との準決勝第2戦でも、合計得点タイに持ち込まれる中、値千金の一撃をお見舞いし、チームを決勝へと導いた。ファイナルを埼玉スタジアムで生観戦していた日本代表の森保一監督もその決定力には目を見張ったことだろう。

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