【写真:Getty Images】
【日本 4-0 香港 AFC U23アジアカップ予選】
AFC U23アジアカップ予選のグループK第2戦が28日に行われ、U-22香港代表はU-22日本代表に0-4で敗れた。そして、2連敗でグループ最下位となり予選敗退が決定している。
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国際色豊かなチーム構成だったU-22香港代表には、2人の日本出身選手がいた。2002年生まれの陳晋一(チャン・シンイチ=写真左)と2004年生まれの市川聡悟(イチカワ・ソウゴ=写真右)は、いずれも母親が日本人で、前者は東京、後者は大阪の出身だ。
試合後に日本語で取材に応じた陳は「日本との対戦は、どんな試合でも特別です」と述べ、「日本のチーム、日本のサッカーのレベルでは競えないので、自分はいま香港代表になっています。日本にチャレンジできるのは、いい機会だったと思います」と続けた。
幼少期に家族とともに香港へ渡ったものの、陳は夏休みを利用して毎年1〜2ヶ月ほど日本に帰って学校に通ったり、サッカーを習ったりしていたという。帰国時にはJリーグの試合も楽しんでいた。
プロサッカー選手になってからは帰国のチャンスも減ってしまったというが、「日本ではいつも、小さい頃からサッカーをもっと習いたいという感じでした。いまも日本のサッカーからテクニックと戦術を学んでいて、もっと強くなって、一歩一歩前に進みたいです」と陳は言う。
「いまこの年齢(19歳)で、もっと高いレベルに挑戦したいですし、香港から海外に行くチャンスがあったら、そのチャンスをつかんで、もっと高いレベルのサッカーを学んで、もっともっとチャレンジしていきたいと思います」
陳は2019年6月に16歳で香港代表デビューを果たすなど、地元で才能を高く評価されている。U-22代表でも中心選手としてプレーしており、日本戦では5-4-1の左サイドに入って積極的に周りに指示を出すなどよく目立っていた。
所属する名門・傑志では今季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で5試合に出場し、同組になったセレッソ大阪との対戦時もピッチに立っていた。
「香港の日本のサッカーのレベルには、絶対的に差が大きい。その印象を持って試合に入りました。僕はACLでもセレッソとの試合に出ていたので、日本の選手はテクニックのレベルが高いというイメージがありました。試合前から(相手のプレッシングが)どんどんくるとわかっていましたけど、ちゃんと自分たちの戦術を出せていた。でも、やっぱり選手の差が結果に出てきたと思います」
陳はU-22日本代表との差を肌で感じ、相当に悔しがっていた。ただ、この国際舞台での経験が彼をさらに強くするのは間違いない。
一方、17歳にしてU-22代表の一員となっている市川は日本戦にも「ルーツの関係はそんなにない感じがしました」と語った。なぜなら大阪生まれながら、生後2ヶ月で香港に渡ったためだ。
それでも日本戦に途中出場し「香港と日本の環境は全然違うので、日本の方がレベルも全然高いし、アジアでもトップだと思う。やってみて香港とのレベルの差が結構あると思いました」と、傑志でもチームメイトの陳と同じ印象を抱いていた。
出身地・大阪に本拠地を置くセレッソやガンバ大阪の試合を見ることもあるという市川は「今は(傑志で)トップチームにも入っているので、まずはもっとクラブで経験とプレー時間を多くして、自分の才能を見せて、チャンスがあれば海外に行きたいです」と、流暢な日本語で決意を新たにしていた。
U-22香港代表を率いていたチュン・キン・フン監督は予選開幕前に「このチームの選手たちには国際経験が足りない」と課題を語っていたが、日本戦を終えた後には「若いタレントもいるので、ここでの経験をもとに、アジアでの立ち位置を知ることも大きな勉強になった」と手応えを語っていた。
陳や市川も香港代表選手として貴重な国際経験を積み、成長へのヒントを得ただろう。日本にルーツを持ち、香港サッカー界の将来を背負っていくであろう2人の才能の今後の活躍を楽しみにしたい。
(取材・文:舩木渉)
【了】