強豪に勝てるだけの力が…
そしてバルセロナはまたも攻撃時の迫力不足を露呈している。
マドリーの守備は素晴らしかった。ウイングのプレスバックは速く、中盤ではルカ・モドリッチとトニ・クロース、カゼミーロが集中力と運動量ともに高く保ち、ミリトンとアラバもしっかりと中央に蓋をしている。カルロ・アンチェロッティ監督の元、よく整備されているという印象を受けた。
それに対しバルセロナは大苦戦。縦パスを差し込めず、スペースも突けず、サイドへの逃げパスが必然的に増える。そしてサポートが少ないから選手一人ひとりが孤立する。結局苦し紛れのクロスに落ち着くが、マドリー側からするとほとんど揺さぶられていないので、基本的に万全な状態で対応できる。そのため、チャンスらしいチャンスはなかなか訪れなかった。引き付けられて奪われ、カウンター喰らう。マドリーの狙いにどっぷりハマったと言える。
マドリーには攻撃時における動きの連続性があった。たとえば62分の場面、クロースからフェルラン・メンディにパスが入ると、モドリッチがボックス内へ侵入。そして今度はカリム・ベンゼマが入り、モドリッチのパスを受けたことでシュートへと繋げている。この一人ひとりの動きの連続によって、バルセロナの守備は面白いようにバラバラに。結果マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンのセーブで失点は免れたが、完璧に崩されていた。
マドリーにあってバルセロナになかったのはまさにこの動きの連続性だ。スペースではなく足下で勝負する選手がほとんどなので、相手守備陣を揺さぶれない。たとえ一人が良いランニングを見せたとしても、その後が継続しないから結果的に個対個での戦いになってしまう。全体としてアクションがなければ、ボールを持つ選手のタッチ数も必然的に増える。マドリーの方がワンタッチ、ツータッチで崩すシーンは圧倒的に多かった。
攻撃時のアクションが極端になく、それに比例しアイデアもない。だから、相手守備陣前での無難なパス回しが増える。今に始まったことではないが、クーマン・バルサが強豪に全くと言っていいほど勝てない原因だろう。今回はスコアこそ1-2と大差なかったが、その内容には大きな差があったと感じている。
(文:小澤祐作)
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