ミンゲサ起用のメリットがなかった
まず一つは、現マドリー最大の武器を封じられなかったことだ。
クーマン監督はこの試合でオスカル・ミンゲサを第8節アトレティコ・マドリード戦以来となるスタメンにチョイスしている。ポジションは右サイドバックだったが、その狙いは対峙するヴィニシウス・ジュニオールに仕事を与えないためとみていい。ミンゲサにとっては、非常に重要なミッションだった。
しかし、結果的に同選手は指揮官の期待を裏切ってしまったと言える。
ミンゲサは立ち上がりから不安定で、何度もヴィニシウスに背後を取られていた。1対1の対応も軽く、21分には簡単にボックス内への侵入を許し、あわやPKというシーンを作られている。どうにも分が悪かった。
32分、先制点に繋がるマドリーのカウンターはメンフィス・デパイの不用意なボールロストから始まっている。さらに同選手は何を思ったのか途中でプレスバックをやめ、猛スピードで前線へ駆け上がるアラバのマークを他人任せに。あまりにも失点の責任は大きすぎた。
しかしこのシーン、ミンゲサにも責任がなかったとは言い切れないのだ。
デパイがアラバにボールを奪われた後、ボールは一度ヴィニシウスに渡っている。そこへミンゲサは素早く寄せたのだが、簡単に足を出したことであっさりと抜かれ、結果マドリーのカウンターが継続することに。ファウルを犯してでも、もっと激しく当たりにいく必要があったことは否めない。
もちろん現在のヴィニシウスを封じることは誰にとっても難しい。ただ、この日のミンゲサはあまりにも簡単にやられ過ぎていた。攻撃面でも何か特別なことができるわけではないので、置いておくメリットは厳しい言い方をすればほぼなかった。結果ミンゲサは前半のみの交代となったが、妥当だろう。