セルティックにおけるウィングの役割
【写真:Getty Images】
一方、古橋はやはりウィング起用だと輝きが鈍ってしまう。最低限のタスクはこなしていた。セルティックの戦術では、基本的に両サイドで必ず1人ずつタッチラインを踏むようなポジションを取らなければならない。ピッチの横幅をぎりぎり最大限まで活用することが目的で、セント・ジョンストン戦に関しては相手の5バックに少しでも入り込む隙間を作るために重要な役割となる。
また、ポステコグルー監督は横浜F・マリノスでもセルティックでも、ウィングの選手のスタートポジションを両サイドのタッチラインぎりぎりに設定し、両サイドバックに中盤アンカー脇まで絞った立ち位置を取らせる。
古橋は右サイドの高い位置で相手の左サイドバックを引っ張りながらボールを待っていた。パスを受けての1対1や、味方の走り込むスペース作りといった求められる仕事は、彼なりにこなしていたように思う。しかし、やはりどうしても窮屈そうな印象は拭えない。
セルティックで公式戦9得点を挙げている“ストライカー”の古橋は、スペースを自ら攻略し、味方のパスに使ってもらうことで最大限の成果を生み出せる選手なのである。
ポステコグルー監督は61分にギアコマキスを下げ、左サイドでのプレーを得意とするFWマイキー・ジョンストンを投入した。この交代にともない、左ウィングのFWジョタが右ウィングに回り、古橋は1トップに移った。
そして、勝利を決定づける1点は「ストライカー」のポジションに入った古橋のプレーによってもたらされた。
79分、セルティックは古橋の猛プレスを起点にピッチ中央で相手のパスをカットすると、すぐさまカウンターに移行する。ボールを運んだジョタはペナルティエリア手前で相手に倒されるが、粘ってボールを味方につなぎ、主審はアドバンテージを見ていた。