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Jリーグ 3年前

鹿島アントラーズは「キレイなサッカーをしてもしょうがない」。希望をつなぐ背番号8の黒子の働きとは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

チャンスを生む黒子の働きをしていたのは…



「僕はちょっと遅れてたんですけど、ファーにカイキが入ってくれたので、マイナスが空いた。右足で一発で決められれば一番よかったけど、いいところにこぼれたんで決めきれました」

 この後、FC東京の渡邊凌磨に1点を返され、2-1にはなったものの、上田の一撃が決め手となり、鹿島は2試合ぶりに勝利。ACL圏内に何とか希望をつなぐことができた。

 この一戦で特筆すべきなのは、決勝ゴールをアシストした土居の黒子の働きだろう。前半から彼と上田は繰り返し得点機を演出していたが、2人がいい距離感で前線をかき回したからこそ、FC東京守備陣に綻びが生まれたと言っていい。

「横浜FC戦からの準備期間に特に何かを詰めたということはないですけど、お互いの特徴を理解しているからこそ、息の合った部分を出せた。僕が推進力を持って背後に出るところを聖真君が生かしてくれた。前半、聖真君が外したシーンも、僕が縦に行くことを分かっていた。そういう動きをうまく利用してくれたと思います」と上田も背番号8との関係性に手ごたえをつかんでいる様子だ。

 今季の土居はリーグ全33試合出場のGK沖悠哉に次ぐJ1・31試合出場。ゴールは5点と上田や荒木遼太郎よりは少ないものの、神出鬼没な動きで敵を大いにかく乱している。この日も一瞬の飛び出しでゴール前に侵入するプレーで複数のチャンスを作っていた。

「聖真のいいプレスから決定的なスルーパスも出せた」とカイキも話していたが、彼自身の献身性とハードワークも今のチームには不可欠な要素に違いない。

 加えて言うと、彼はアカデミー出身で、生え抜きの年長者。小笠原満男、内田篤人といったレジェンドたちとともに戦い、強い時代を経験した数少ない存在だけに「常勝軍団の伝統を守らなければいけない」という意識は誰よりも強いはずだ。

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