冨安の結果は…
今節も右SBで先発フル出場を果たした冨安健洋。前節同様に守備では安定しており、データ会社『Squawka』によるとリカバリー数(8回)とクリア数(7回)はチームトップの数字を記録した。
今節、冨安と縦関係でコンビを組んだのはブカヨ・サカだった。単独突破型のニコラ・ペペとの相性はそこまで良くないが、オフザボールの動きが上手いサカとの相性は比較的良い印象だ。この試合でもサカが裏に抜けたタイミングで絶妙なボールを供給するなど、相性の良さが垣間見えた。
また、守備における判断と修正も見事だった。以前から冨安は前への意識が高いゆえに、自身の背後のスペースを使われる展開が多かった。第5節トッテナム戦、第6戦ブライトン戦では、この形から多くのチャンスを作られていた。
前半ビラは3-5-2のシステムを採用していたこともあり、冨安は左WBのマット・ターゲットのマークに付くシーンが多かった。ところが、後半開始と同時にビラは4-3-3にシステムを変更。後半のファーストプレーで冨安がターゲットに寄せたところ、後半から左WGのポジションに入ったオリー・ワトキンスに裏を取られてピンチを迎えた。
これを踏まえて冨安は自身の背後のスペースを使われないように、この直後から前に出てターゲットにプレスを掛けることを控えた。ディフェンスラインのバランスを重視したことで、自身のサイドから崩されることはなかった。
身体能力や対人の強さは既にプレミアリーグで通用するレベルにあることを証明している冨安。これまでの反省を活かし、状況に応じて守り方を変えるという頭を使ったプレーで修正を図れたことは、今後に向けた好材料となったに違いない。
(文:安洋一郎)
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